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June 18, 2004

「シルミド(実尾島)」感想

昨日、同僚のI先生に誘われて、今公開中の韓国映画「シルミド」を見に行きました。簡単にその感想を(ちょっとネタばれあり)。
見に行ったのは、郊外型シネコンの一つである「イオンシネマ久御山(くみやま)」。ここは大手スーパージャスコ(イオン)の上に映画館があるという形式のシネコンです。I先生の車で、レイトショーを見に行きました。

簡単にストーリーを説明すると、1960年代後半、南北朝鮮の対立が一番加熱していたころ、韓国においてある特殊部隊が組織され、過酷な訓練を施されます。その特殊部隊の名前は「684部隊(68年4月に結成されたから)」、そして命を落とさんばかりの訓練が行われたのが、インチョン沖に浮かぶ無人島の「シルミド」という島です。映画はここを舞台にしてストーリーが進んでいきます。
この特殊部隊の目的は、北朝鮮に潜入して、金日成の首を取ること、その一点に集中されます。というのも、1968年1月に、北朝鮮の特別工作隊が韓国の大統領官邸近くまで潜入するという衝撃的な事件が起きたので、その復讐戦を行うべく、684部隊が結成されます。そして隊員は、死刑囚などを中心としたいわば「ならず者」や(主人公達は死刑免除と引き替えにこの部隊に参加させられます)、一旗揚げようという民間人で構成されます。
作戦が成功すれば娑婆に戻れて、名誉も地位も金も手に入る、というのをモチベーションにして、過酷な訓練を3年ほど続けた隊員達は、韓国軍屈指の「殺人部隊」となります。
しかし、ここから事態は暗転します。政府は復讐戦を仕掛けるよりも、南北対話路線に政策を変更することを決定し、このような「殺人部隊」を訓練していたこと自体、非常に外聞が悪いと、この部隊を忌避し始めます。軍隊(シルミド)にも娑婆にも「戻る場所すらない」隊員達は自分たちを「育てた」国家に対して・・・。

と、ここまででストーリー紹介はストップしますが、まず映画自体、二時間ほどの長さの間、ほとんど間延びせず緊迫した作りになっていて良かったです。
主人公のソル・ギョングや、毎度韓国映画ではおなじみのアン・ソンギなど、上手い役者を揃えています。特にアン・ソンギは何をやっても様になるから凄いなあ、と毎回思います。
南北対立を中心にすえた軍事アクションは、まさに当事者たる韓国の独壇場なわけですが、この「シルミド」が一番リアルで男臭かったです。これまで見た映画では、「シュリ」は恋愛と「液体爆弾」というドラマチックすぎる小道具がありましたし、「JSA」は、我が愛しのイ・ヨンエ様が美しすぎる将校をやっていて(それは勿論この映画の清涼剤なのですが(笑))、リアリティという点では、この「シルミド」が一番だと思った次第です。

そしてこういう映画を単純に「面白い」ということにも、やはり躊躇いがあります。南北朝鮮の対立というのは、今現在も続いているわけですし、政府の都合でいいように扱われる軍隊(国民)というテーマは、それこそ普遍性を持ったテーマだと思います。
でも、感想を一言、といわれればやはり「面白かった。見て損はなかった」と答えます。韓国の恋愛ドラマばかりでなく、こういうハードなものも是非ご覧ください。

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Comments

はじめまして。
『シルミド』についてですが、以下の頁の6/8づけ記事に、
「史実に関してはかなりの脚色があるので、鑑賞には注意が必要」
という指摘がありました。
http://www.kamiura.com/report.html
釈迦に説法の類という気もするのですが、参考までに。

Posted by: おーつか | June 21, 2004 at 08:08 PM

おーつかさま

ご教示ありがとうございます。
勿論、僕もあれが史実そのままだと思ってみたわけではありません(ドラマティックすぎます)。教えてくださったところが説明しているのが真相だと僕も思います。

ですから、僕は敢えてこの映画の「一般的(普遍的)」なテーマを探そうとして、「政府の都合でいいように扱われる軍隊(国民)というテーマ」を上で述べました。「男の誇り」だとか「恨(ハン)」とかではなく、僕も自分の中でそういう物語として消化したのです。

Posted by: 川瀬貴也 | June 21, 2004 at 08:29 PM

納得です。
テレビCMなどであまりに「真実の物語」的な売られ方をしているのを見、少々違和感があったので書いてみました。
わたしがはじめて見た韓国映画『外人球団』(『アウトサイダー野球団』という題名でもテレビ放映されました)は、やはりはぐれものや傷痍軍人の野球選手を孤島に集めて特訓し、シリーズ全勝を目指す球団の話でした。
余談ですが、テレビの日本語吹き替え版は無茶苦茶面白かったのに、ビデオで借りてきた字幕版はおそろしく退屈で、これもはじめての経験でした。

Posted by: おー | June 22, 2004 at 03:48 PM

>わたしがはじめて見た韓国映画『外人球団』(『アウトサイダー野球団』という題名でもテレビ放映されました)は、やはりはぐれものや傷痍軍人の野球選手を孤島に集めて特訓し、シリーズ全勝を目指す球団の話でした。

確かあれはマンガが原作なんですよね。僕は見たことがないんですが、もしかしたら「シルミド」もこれの影響が・・・というのは穿ちすぎかもしれませんが(笑)、吹き替えでは面白かったのに字幕は面白くなかった、というのは興味深いご指摘ですね。どうしてでしょう。細かいギャグややり取りは字数制限のある字幕では再現不可能で、吹き替えの方が良いのかもしれませんね。

Posted by: 川瀬貴也 | June 22, 2004 at 07:49 PM

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