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July 13, 2004

参院選雑感

日曜日に参院選が行われ、大方の予想通り(といって良いだろう)になった。今日はこれについての雑感を書きたいと思う。

まず、僕としては今回の結果はやはり「食い足りない」ものだった。正直言ってもう少し自民党が負けて欲しかった(というより、もう少し負けるのでは、と予想していた)。やはり公明党の応援は強いなあ。

でも、それに対して民主党が伸びて良かったと思うかというと、実はそうでもない。「反自民」の受け皿が、共産党や社民党ではなく今はほぼ民主党に流れてしまっているのは時代の趨勢で致し方ないかも知れないが、僕は「自民党対民主党」という、いわゆる「二大政党制」それ自体に懐疑的なのだ(オールドタイプなんです、僕は)。
今朝の朝日新聞で「今回の選挙に勝ったのは二大政党制への流れ」と論評した五百籏部眞氏(神戸大学・政治学)のことばは正鵠を射ていると思う。ついでに言うと、昨日の朝日新聞夕刊の大澤真幸氏(京大・社会学)の「我々は何も選んではいない」という趣旨の論説にも深く頷くところがあった。

まず、自民党対民主党という二大政党制の流れだが、イギリスやアメリカのように政権交代を促す仕組みだから良いのでは、という単純素朴な見方には僕は与することはできない。
確かに、例えばアメリカで共和党政権がポカをしたらその次は民主党政権、というような政権交代が起こっているのは確かかも知れないが、余りにも選択肢が少なすぎると思う
このブログでも誉めたイギリス出身のロック歌手モリッシーが歌うように、イギリス人だって「イギリス人が息も絶え絶えの労働党にも保守党にもうんざりする時を僕は夢見ている(I 've been dreaming of the time when the English are sick to death of Labour and Tonies)」のである(Irish Blood, English Heart、訳は私訳)。「第三の勢力」というのは、公明党みたいな例も出てくるかも知れないが、やはり必要だと思う(念のために言っておくが、僕は公明党そのものには何等特別な感情を持っていない。ただ、今の小泉政権に協力しているのが気にくわないだけだ)。

日本で考えてみると、まず自民党と民主党の明確な相違点すら有権者には分からないと思う。
第一、自民党のような「ヌエ」のようなものを「政党」と呼ぶべきかさえ一考を要すると思う。民主党も、寄り合い所帯ゆえ、例えば憲法や自衛隊の考え方の幅が広すぎる。さすがにそれを「民主的」なあり方と誉めることはできないだろう(西村真悟のような男ですら、民主党議員なのだ)。どちらも選びたくない、ということはままある。最悪のシナリオは、形式的な二大政党制は整ったが、政権交代が起こっても政治の実態が全く変わらない、という事態に陥ることである。
僕個人としては、一度くらいは民主党政権を見てみたいのだが(森首相みたいな人が首相ができるくらいのお国柄なのだから、民主党もびびることはない)、どこまで党内を調整して思い切った改革ができるかは難しいと思う。もしそこで失速したら、それこそ「命取り」になりかねないだろうから、慎重に歩みを進めて欲しい。
退潮著しい共産党と社民党だが、こういうことを言い続ける政党も僕は必要だと思うので、踏ん張って欲しい。

今更遅いけど、やはり衆議院の小選挙区制、あれが諸悪の根源のような気がする・・・(死票が多すぎて果たしてどこまで民意が反映されるのか)。

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Comments

私も民主党はヘタ打ったなと思います。

今回の選挙は、実質争点などなかったのではないかと思います。年金問題の解決策なんて誰も提示できないのだし、イラク問題は大多数の人にとっては他人事扱いで。組織票以外では単に「自民党のやり方が気に食わない」とか「民主党は信用できない」とか、そういうネガティブな考えの下で選択をしたというだけなのではないでしょうか。

しかしそう悲観的になっても仕方がない。例えば民主党の藤末氏の言っているようなことはわりと納得できます。日本人には政治に関わると「けがれる」という信仰のようなものがあると思うのですが、自分の支持できる政策を主張する政治家を育てるのも私たちの役目だと思うのです。私はおそらく「民主党の中の誰々を支持する」という形で政治的な立場を表現することになろうかと思います。

Posted by: ガメ | July 14, 2004 at 12:44 AM

本日もsafariでアクセスです。

実は「我が内なる自民党」という文章でも書こうと思っていたところでした。なんかヨノナカの権力とか金の動きとかが少しでもわかってくる年齢に達すると、つくづく自民党ってのは日本の大人(あるいはオトコか?)の縮図だなぁというか・・・。

公明党の政策の一部というのは、政治ドシロウトの僕には面白いと思えるものもある。「改憲より加憲」(条項を加えるのなら比較的現実的な気が)、「国立の非宗教的追悼施設」とか。

「社会主義」政党の衰退はもう避けようがないでしょうね。はっきり言って、北朝鮮拉致問題で、日本のサヨクは完全にトドメをさされたのではないでしょうか。それに、これはちょっとした経験をふまえた直観でもあるのですが、やはりセクト主義の行き着く先というのは内ゲバとテロリズムなのだなぁと。

電車に乗ってても「赤旗」より「聖教新聞」読んでる人のほうが多いんですから(笑)。マルクス主義は結局日蓮主義にすら勝てなかった。

万年野党で自民党を討ち続けるのか、それとも、自民党と手を組んででも日本を変えていこうとするのか。結構日本の今後を占うのに密接なテーマであります。

ところで、以前にも「2ちゃんはなぜ右傾化するか」とか川瀬先生掲示板で喋っていたけれど、最近『正論』とかで2ちゃん擁護の意見が見られるのも面白いね。

Posted by: こいけ | July 14, 2004 at 02:04 AM

コメントありがとうございます。まとめてレスを。

ガメ様、ブログでのガメ様のお考えも拝読しました。
僕は恐らく共産党や社民党に対して、ガメ様より同情的だと思いますが、ほとんど同感です。民主党の中で考えが合いそうな人を名指しで投票して・・・というやり方は現行の選挙制度で出来うる最上の方法でしょう。

>自分の支持できる政策を主張する政治家を育てるのも私たちの役目だと思うのです

というのはまさしくその通りでしょう。シニシズムに陥るのは簡単ですが、誰も誉めてもくれませんから(笑)、そういう選択はしたくないです。


こいけさま

>実は「我が内なる自民党」という文章でも書こうと思っていたところでした。なんかヨノナカの権力とか金の動きとかが少しでもわかってくる年齢に達すると、つくづく自民党ってのは日本の大人(あるいはオトコか?)の縮図だなぁというか・・・。

それが、僕が前に言っていた「日本を巣喰う何か」なのだと思いますよ(笑)。昔、誰だか忘れましたがある議員が「20代のうちから自民党に入れているような人は俺も信じられない・でも40過ぎて共産党とかに入れているのはもっとバカだけど」というような趣旨の発言をしていたと思うのですが、僕が自民党がこんなに嫌いなのは、僕がまだもしかしたら精神的な「父殺し(@Freud)」を経ていないからか・・・?(笑)それは冗談ですが、特に昨今の自民党は憲法やら教育基本法やらをいじればどうにかなる、という短絡思考のアホが多いのが、インテリ(敢えて言い切ります)の僕としては見ていられないのです。

社会主義の退潮やそれを掲げる政党の衰退は僕も仕方ないと思いますが、今も社会主義、もしくはマルクスの「叡智」には継承するべきものがあると思います(別に共産主義の千年王国の到来を信じなくても、社会矛盾への鋭い視座は見習うべきです)。まさか今から社会主義的な「社会保障」とかをチャラにしろ、ということは言えないでしょうし(「小さな政府」にして、こう言いたがっている人もいますが)。

>ところで、以前にも「2ちゃんはなぜ右傾化するか」とか川瀬先生掲示板で喋っていたけれど、最近『正論』とかで2ちゃん擁護の意見が見られるのも面白いね。

敵(朝日・岩波など)の敵は味方、という論理でしょうかねえ(笑)。社会学者の北田暁大氏が2ちゃんねらーの心性について分析していましたが、僕が思うに、2ちゃんねらーと『正論』の共通点は「大きな物語」に参入する(もしくは依存する、と言い換えても可)欲望だと思います。

Posted by: 川瀬貴也 | July 14, 2004 at 02:38 PM

はじめまして。
二大政党が誉めそやされる昨今ですが、
それによって争点が明確化するとか政治に対する関心が高まるという言説には懐疑的です。
なんというのか、松屋のメニューを牛めしとカレーだけにすれば客が大勢来る、という議論を聞いているようで。(笑)
牛めしとカレーの両方気に食わない人は他の店に行く(投票忌避)だけの話であって。
二大政党賛美の世論自体が民主党の政権戦略キャンペーンなのでは?と思う今日この頃です。

Posted by: 真鶴さら | July 22, 2004 at 04:25 AM

真鶴さらさま

初めまして。コメントありがとうございます。

>なんというのか、松屋のメニューを牛めしとカレーだけにすれば客が大勢来る、という議論を聞いているようで。(笑)

という喩えには大笑いです。その通りだと思います。

今更、といわれそうですが、結構弱小政党も議員を出すことが出来た中選挙区制は良かったなあ、と回顧する今日この頃です。

Posted by: 川瀬 of Joytoy | July 22, 2004 at 12:24 PM

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