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October 22, 2004

『世界』11月号より

正統派の「保守的サヨク」(笑)として、布団に入りつつ『世界』(岩波書店)の11月号などを読む。毎回思うのだが、こういう総合雑誌(もしくはオピニオン誌)を読むと、世の中には怒りを沸き上がらせる事例には事欠かないものだ。「陽の下に新しきものなし」とは言うけれど、知らないことはまだまだ多い。
僕とは恐らく政治的信条とかが全く違うであろう『諸君』や『正論』や『SAPIO』の読者も、僕とは怒るポイントこそ違えども、「世の中なっとらん」という気持ちは変わらないわけだ。話し合いの余地はここだな。

まあそれはともかく、今月号を軽く読んで気になった記事などを少しメモしてみたい。
まず、今月号の特集は「ブッシュか、反ブッシュか」というもの。この雑誌及び読者の性格からして「反ブッシュ」なのはいうまでもないのだが(もちろん僕だってそうだ)、問題は世界からブーイングを受けまくっているブッシュが何故いまだにかくも根強い支持をアメリカ国民の半分近くから受けているか、ということである。この辺りの問題についての論説がちらほら(入江昭ハーヴァード大学教授とか、テレ朝の丸川珠代さんとか)。町山智浩さんのブログなどからも多少の知識は得ていたつもりだが、今回の特集でもアメリカ国内の亀裂、というか、アメリカ人自らDivided Nation(分断国家)と呼ぶアメリカの有様が強調されていたように思う。共和党と民主党というだけでなく、富裕層と貧困層など、全く交わることのない人々が、広大な土地があるために無関心・不干渉で生活できるアメリカという国の姿である。

原武史さんとケネス・ルオフさんという二人の天皇(制)研究者の対談「象徴天皇制は危機に立たされているか」も読んだが、ちょっと食い足りなかった。残念。対談の最後にルオフさんが「新たな伝統がいかに創出されるのかを注目しています」と述べているが、「伝統の創造invention of tradition」論を自家薬籠中のものとしている(はずの)現在の我々は、その経過を眺めるチャンスを得ているわけだから、目を覚ましていなければならないだろう(なんかイエス・キリストみたいな言い方になってしまった)。

先日のブログでも、消化不良のまま書いてしまったが、「「裁判員制度」への不安と期待」という座談会記事もあった。司法の市民参加がいかに必要か、というのは理屈としては判るのだが、この座談会を読み終わっても、気弱な僕は重大な判決を下す(そのまま決まる、という保証もないけど)勇気が湧かない。確かに、普通の感覚から言っておかしいと思えるような事案について、市民の側からある程度気楽に「それは違うんじゃないのか」と言える(かもしれない)「裁判員制度」は、官僚司法に風穴を開ける可能性があるだろう。もっと言ってしまえば、この「裁判員制度」の長所はこの一点にかかっていると言ってもいいとさえ思う。あと、この座談会でも指摘されていたが「守秘義務」の性格が曖昧なのも、参加を躊躇わせる大きな要因だ。やはりクリアすべき課題は多そうだ。

保母武彦・具滋仁「「三位一体の改革」はこれでよいか」という記事は、数字が多くて、数字及び数学が壊滅的に苦手な僕には飲み込めなかった部分も多かったが、その後にあった朔北胡笳「経済社会戯評 (8)知事会の頭は逆方向」という記事と合わせて読み、何となく直感で感じていたのだが、義務教育教員給料の半額国庫負担制度の廃止って、酷い代物で、地方間の格差を作るだけだというのが納得いった。現にアメリカなどは酷いらしい。「三位一体」と畏れ多くもキリスト教の教義から借用したこの言葉、「良きに計らえ」の殿様政治の一環だとは感じていたが、「Winner takes all(勝った奴が総取り)」の風潮を下支えすることになりかねないので、やはり反対。

あと韓国研究者としては、ドイツにずっといた宋斗律ミュンスター大学教授がスパイ容疑で逮捕、起訴された事件の顛末を追った梶村太一郎「宋斗律教授事件」も興味深く読んだ。存在意義が薄くなった官僚組織が起死回生にとフレームアップに近いことをしたり、強引な手段に出るということはどこでもあることらしい。

今月号の中では、東海村の「被爆」についての大泉実成さんのレポート「できることはいっぱいある!!」が一番印象的だった。大泉さんのお名前は、かの「エホヴァの証人」の優れたルポ『説得』で前々から存じ上げていたし、オウム問題でも精力的なルポをしていて気になっていた存在だったが、なんと例の5年前の東海村「臨海事故」を起こしたJCOと親会社の住友金属鉱山を相手に2年前から訴訟を起こしていたそうな。それも大泉さんのご両親が被爆し、健康状態の悪化及びPTSDになったからという理由で。これは初耳だったので本当に驚いた。一番「義憤」に駆られる記事だった(一番びっくりしたのは原子力損害賠償法という法律。これによると、被害を被害者側が証明しなければならない仕組みになっているそうだ。時代に逆行する法と言えよう。これによって企業側は開き直ったりいちゃもんを付けるだけでよいということになっているそうだ)。

今月号はなかなか読み応えがあった。
編集長の編集後記で、東京都教育委員会の魔女狩りのような「ジェンダー・フリー・バッシング」に対して深い憂慮が示されていたが(全く同感)、思い出されたのが、20日の朝日新聞の朝刊に載っていた小さな囲み記事(「特派員メモ」小森敦司記者)。フィンランドのタルヤ・ハロネン大統領が来日するのに合わせて書かれた記事だが、フィンランド初の女性大統領のなった彼女の言葉には単純且つ力強いものを感じずにはいられなかった。以下、ちょっと引用(アサヒ・コムでは見つからなかったので)。

「すべての男女に教育を施せば、男性だけの国の2倍の競争力が持てます。貧富の差なく教育を施せば、それだけ競争力が高まります」 「グローバル競争の中でも、『福祉社会』は『重荷』ではなく『資源』なのです」

日本が北欧並みの高税率、高福祉国家になるのは難しいだろうが、ジェンダー・フリーつぶしに狂奔したり、義務教育の地方格差も弱肉強食だから仕方ないなどというような人は、もう一度ハロネン大統領の言葉を考えてみて欲しい。

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経済・政治・国際」カテゴリの記事

Comments

>もう一度ハロネン大統領の言葉を考えてみて欲しい。

禿同ですね。

総合誌は最近とんと読まなくなってしまったけど、もう一度読んでみようかと思ったりします。

porciusさま

僕もそんなに力入れて総合雑誌は読まないですよ。定期購読しているものは一つもないし(『世界』だって、3、4ヶ月に一度くらいしか買いません)。
僕が買うのは、新聞を読んでいるだけだとよく判らないことについて解説めいた記事があるときですね。そういうわけで、結構『ダ・カーポ』なんかも読んじゃいます(笑)。

>『ダ・カーポ』

私も見出しがキャッチーだったりすると、たまに読んじゃいます。

ちなみに私も、

>反ブッシュ

です。アメリカ人の友達も多いし、アメリカが結構好きだったりしますが、ともかくブッシュ、あれだけはイカンという感じです。

結構アメリカ民主主義の大きな曲がり角に来ているような気さえします。
興味ある割に調べ切れてないもんで「気さえします」以上のことは言えないのがもどかしいのですが。

「三選禁止撤廃」とかやりそう…。

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