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November 23, 2004

またまたヴィクトリアン・エイジの本を読む

さて、今日は何だか中途半端な祝日。
昨日まあまあ働いたので(短い原稿を一つ仕上げた)、今日は骨休みと思い、昨日ご恵送いただいた本を早速読んで過ごす。

送っていただいたのは
岩田託子『イギリス式結婚狂騒曲』中公新書、2002年。
岩田託子・川端有子『英国レディになる方法』河出書房新社、2004年。

の2冊。

岩田託子先生は、僕が研究会でお世話になった岩田文昭先生の奥様で、先日僕が森薫先生の『エマ』にはまり、ヴィクトリア時代の本をパラパラ読んでいるなんてこのブログに書いたのをご覧になって、この時代の専門家である先生が、ご自身の御著書をわざわざお送りくださったのだ。あんな駄文が専門家の目に触れたというだけでも恐縮するのに、御著書までご恵送いただき、早速新書から読ませていただいたのだ。

さて、『エマ』を読んだ方は憶えておられるかも知れないが、4巻の最初のエピソードで、ウィリアムが

「あの時 とにかく追いかければよかったか 行き先も知らないのに? 探せば・・・ どうやって? ・・・・・いや それよりまえに ふたりでグレトナ・グリーンにでも駆け込めばよかったか ロマンス小説じゃあるまいし」(pp.20-1)

とエマを追いかけなかったことを悔やむシーンがあるのだが、最初読んだときはこの「グレトナ・グリーン」は地名なんだろうな、くらいに思ってちゃんと考えなかったのだが、岩田先生の御著書でこの疑問が氷解した(と言うより、『エマ』のこのシーンは岩田先生の御著書が元ネタ)。
グレトナ・グリーンGretna Greenとは、スコットランドとイングランドの国境にある小さな村の名前で、「駆け落ち婚(runaway marriage)」のメッカとして有名な村なのだ(Gretna Green Marriageという言葉が作られたほど)。詳しいことはこの書に譲るが、イングランドの厳しい結婚に関する法律を嫌って、多少法律が緩いスコットランドで結婚してしまおうという連中が、国境線を目指して「駆け落ち」するのだが、19世紀にはそれこそロマンス小説のネタにされるくらい有名になってしまい(様々な小説で、このグレトナ・グリーンは使われている)、上記のウィリアムの台詞はそういう状況を踏まえた上の台詞なのだ。
ロマンティック・ラヴ・イデオロギーに染まりまくっているはずの僕は、この駆け落ち婚の流行を笑う資格はないだろうなあ。昔みたいに外的な障害がなくなって、恋愛結婚がデフォルトになってしまった昨今では、恋人に様々な条件を突きつけたり、自分の気持ちに異常に拘ったりして、自分から「内的」な障害をこさえてドラマティックに仕立て上げているのかも知れないなあ・・・などと、読みつつ思う(具体的な友人の顔を何人か浮かべながら)。

この新書、軽妙な語り口で当時のイギリス社会のことが判るし、『エマ』にはまった人にはおすすめです。
もう一冊の『英国レディになる方法』も、今読んでいる途中ですが、図版も多く、情報量も豊富(ゆっくり読んでおります)。ヴィクトリア時代の様々な「道具」とそれにまつわる知識が付くこと請け合い。

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