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November 25, 2004

斎藤美奈子『物は言いよう』を読む

今日は講義の直後から教授会で、ご飯を食べる暇さえなく(要領の悪い自分のせいだが)、会議が終わった頃には空腹でヘロヘロ。というわけで、その後書類を書いたり学生の相手を終えた後は、コーヒーを淹れながらパンをかじりつつ、斎藤美奈子さんの新刊『物は言いよう』(平凡社、2004年、\1600)を読了。実は、昨日の大阪へのコンサートへの往復の間に、あまりの面白さにほとんど読んでいて、その残りを読んだのだ。相変わらずうまいなあ、斎藤さんは。文章や落としどころがうまいっ!いつもながら感動します(僕は結構彼女の愛読者です)。

この本は、今はなき『噂の真相』に連載されていたのをまとめて増補改訂したもの。
言葉の「名シェフ」斎藤さんの俎上に(哀れにも)載せられるのは、FC(フェミコード)に引っかかった様々な有名人たち・言論人の迷言・失言・暴言の数々。要するにジェンダー、もしくは女性に対しての配慮が無さ過ぎる言葉たちだ。
まずは斎藤さん、よくもまあこれだけの言葉を集めたものだと感心し、その次に、よくもまあこれほどの失言がいまだに蔓延っているものだとガックリ_| ̄|○。浜の真砂は尽きるとも、世に失言の種は尽きまじ、といったところか。最近だと、少子化問題とかを論じる席で、保守系の議員がFC引っかかりまくりの失言しまくっているしな。

さてこの書の特徴は、それぞれの言葉の「難易度」を★で表している、という点。誰が見ても「これは問題あるでしょ」というのは難易度が低いと見なされ★が一つ。ところが世の中には、一見理解があるように見えて落とし穴を掘っている難しい言葉もあったりするから油断はできない。そういう言葉には★が三つ付いていたりする。つまり難易度の高い言葉、とここで斎藤さんが判定している言葉は、まさに「ちょっとは理解あるつもり」という僕のような人間がついつい口にしそうな言葉でもあるのだ。くわばらくわばら。
僕が下手な紹介をして、せっかくの「斎藤節」をダメにしてしまうことは避けたいので、内容の細かい紹介は省略するが、僕がこの書を読んで感心したのは、斎藤さんの「戦略性」である。戦略性、といえばフェミニズム業界では上野千鶴子先生とかかもしれないが(ちょっと自信がないけど)、斎藤さんは、このところ学問として難しくなって一般人に声が届かなくなっているフェミニズム業界に対して
「なんて売り込みが下手なの、あんたたちは。そんなことだからしょーもないジェンダー・フリー・バッシングとかで好き放題言われちゃったりするのよ」
と、返す刀で、長年の盟友(?)であるファミ業界に対する批判的スタンスも忘れていない(愛情ゆえの叱咤激励だ)。僕はそういう部分に非常に感服した。

これは学生の皆さんにも是非読んで欲しい本だ。もちろん、「お勉強熱心」な学生さんは、ちょっと難しいフェミニズムの理論書にでも果敢に挑戦していって欲しいが(そのお手伝いはいくらでもします)、まずは斎藤さんの名人芸(名人芸過ぎて真似できないところが難点だが)に酔いしれつつ、「FCセンサー」を身につけて欲しい(もちろん、僕も身に付けたいと思っているわけですが)。少なくとも「男脳・女脳」というような与太話に騙されないくらいの知見は身につけましょうね。

追記:この書の最後には「『ご主人と奥様』問題」と題されたコラムが付いていて、そのタイトルの通り自分の配偶者や、他人の配偶者をなんと呼ぶべきだろうか、という問題についての斎藤さんの一案が書かれている。僕は斎藤さんにほぼ賛成。とくに「目上の人のお相手には奥様、という言葉を解禁したら」という案には賛成だ。実はずっと困っていたんですよね。自分の妻のことは単に「妻」と呼んでいる僕ですが、他人の、特に目上の方の配偶者をどう呼ぶべきかというのは、フェミを囓った僕には悩ましい問題だった。一時「パートナー」と呼ぼうかと思ったが(先輩に当たる人のお相手には使った事がある)、小谷野敦さんの本に「パートナー、という言葉は、ネイティヴから見ると非常な違和感を持つ言葉」とあったのを見て、使う気が失せていたのだ。

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