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November 26, 2004

やまだ紫さんの新作

ふと立ち寄った本屋で、ぱっと目に付いた青い表紙の本があった。
あ、やまだ紫さんの新作じゃないか!昔からのやまだファンの僕は当然即購入。こういう作品集は『夢の迷子たち』(翔泳社、1995)以来じゃないかな。

新作のタイトルは、復帰第一作だからか非常にシンプル。その名も『愛のかたち』(PHP、\1400)。早速読んでみました。

aino_katachi.jpg
(すてきな表紙です)

さて、僕の方からちょっとだけ(僭越ながら)ご紹介すると、やまだ紫さんは、昔青林堂の『ガロ』に良く描いていた漫画家(エッセイストとしてもご活躍中)で、僕は確か高校生の時にその存在を知ったのだと思う。高校時代、通学路に、マニア向けのマンガ専門店(「わんだ~らんど」という店。泉北の深井駅の前にあった。堺では希有なマンガ専門店だった)があって、僕は足繁くこの店に通い、様々なマンガを買いあさっていたのだが、やまだ紫さんとの出会いもこの店(ついでに言うと、近藤ようこさんや、津野裕子さんなどガロ系の女性マンガ家は全てこの店で教えてもらったようなもの。感謝しています)。彼女の代表作といえる『しんきらり』(青林堂、現在筑摩書房)がこの「わんだ~らんど」に置いてあって、それをパラパラ読んで、「衝撃」(としか言いようがない)を受けたのだ。そこに描かれていた世界は、高校生のケツの青い僕にはまるで「判らない」、だけど「ものすごく胸に迫る」ものだったから。夫婦と二人の娘が構成する家庭とそこでの心の移ろい、などと書くと陳腐になってしまうので贅言は控えるが、「夫婦が穏やかに過ごすこと(その穏やかさを維持すること)」が「ささやかな夢」どころか実は「激しい夢」であることを教えてくれたのは、間違いなくこの作品だ(こういう台詞が本編に出てくるのです。興味ある方は探して是非お読みください)。この『しんきらり』以来、僕はやまだ紫さんのファンを続けている(今自宅にある『続しんきらり』は偶然手に入ったサイン本です。ちょっとした自慢)。

で、今回の新作はマンガとエッセイが半々(エッセイの方が量は多いが)。全体的な印象だが、穏やかに日常に立ち現れる問題を提示するスタイルや、恋人や夫婦の愛のありようについての言及など、やまだ作品としての「手触り」は昔から変わっていないと思うが、今回、大病を乗り越えた後だからか、それともお孫さんができたという変化もあってのことだろうか、エッセイにも明言しておられるように「人間性善説」を前面に押し出し、あえて「常識」とでも呼ぶべき「心配り」を提言しているような印象を受けた。これは、奇抜な発想でも提案でもない。しかし、強靱な「常識」であり「良識」だと思う。「渡る世間は鬼ばかり」と思いたくもなるような昨今だからこそ、この「常識」を再度強調することに意味が出てくると思う。当たり前のことを当たり前にこなすこと、これは『しんきらり』で描かれていた夫婦生活の穏やかさの維持と同じく、実は大変な困難と伴うことだと思う。『愛のかたち』は、僕にとっては、もちろん新しい要素もたくさんあるのだけど、僕が初めて読んだやまだ作品の『しんきらり』を彷彿とさせる作品集だった(エッセイは驚くくらいご自身の心情を吐露しておられたので少し驚いたが)。

この新刊のついでに、前述の近藤ようこさんの初のエッセイ集も偶然見つけ、これも購入(『後には脱兎の如し』晶文社、2004、\1800)。僕の掲示板で以前教えていただいた、たかみようこさんの『ソウルで新婚生活』(大和書房、2004、\1300)も購入(掲示板で教えていただいたのは韓国語版だったが、日本語版がこうしてすぐに出たのだ)。今晩は近藤さんのエッセイからかな。たかみさんのは、確かに韓国語のレッスンにもなる良い出来の本(マンガ&イラストで読みやすい)。韓国に興味ある人、もしくは韓国人とつきあっている女性にはお勧め(笑)。

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アニメ・コミック」カテゴリの記事

Comments

日本のマンガはアメリカ人にとっての映画のような感じですね。
いろいろな機微を表現するバラエティに富んでいる。

こいけ先生

コメントどうも。こいけ先生も一度やまださんの本を読んでみてください。

>いろいろな機微を表現するバラエティに富んでいる。

そうですね。やはり日本のマンガは世界一、とここでは単純にナショナリストしてしまいます(笑)。

やまださんの本を読んで思ったのは、僕も人生の機微を少しは判る年齢になったのかも知れないということ(昔は「知らない世界」をのぞき込んだような感動、今はリアリティを持って迫ってくる言葉、って感じでしょうか)。彼女の作品は、再読に耐えうる作品だと思います。

それにしてもブログの検索ソフトで「やまだ紫」で調べたらまたも川瀬先生のお名前が引っかかってきた。ハハハ、すいませんまたおじゃまします。そこでつまらないトリビアをひとつ、23~24年前に東京は新宿でマンガ関連の情報誌に務めていた私の耳に入った当時の噂話。もう時効だからここに書いてもいいでしょう。当時、関西で書店の「わんだーらんど」を経営していた川端氏が、ある東京在住の有名なマンガ家に恋をして妻子を置いて上京したもののあっというまに振られて結局家庭に戻ったという噂(通称、「ハタ坊事件」、あるいは、「わんだーらんど事件」)がまことしやかに語られたものですが、正確にはどうだったのかご当人たちが知るのみです。でも「わんだーらんど」も健在なのですね。

natsunohi69さん、お久しぶりです。
ほほう、そういう噂が。
敢えて深くは聞きますまい。
「わんだーらんど」は支店も増えて繁盛しているようですよ。でも、

>23~24年前に東京は新宿でマンガ関連の情報誌に務めていた私

というのはびっくり。どんな情報誌だったのですか?

「COMIC BOX」という情報誌です。1982年の9月号から半年くらい務めておりました。今となっては貴重な体験です。この時期、やまだ先生からときどき編集部に差し入れを受けた記憶があるのですが・・・

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