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April 23, 2005

鈴木祥子DVD『Life,/Music & Love』

今回のエントリは、完全にファンの一人としての「布教活動」であることを最初に申し上げておきます(笑)。

15年間、ずっと僕がファンでいるアーティスト、鈴木祥子さんの初のDVD作品『Life,/Music & Love』が発売となり、事前予約をしていた僕のところに、届きました。早速視聴。いやあ、満足でした。

実は、僕はいつも運が悪く祥子さんのライブに一度も行ったことのない「不信心者」なのですが(都合のいいときに限って、sold outだったりします)、そのライブの息づかいを、この作品で、おそらく実際の何分の一かでしょうけど、感じることができました。

lifemusicloveインタビューが所々挟まれているんですが、祥子さんの業の深さ(この「業」というのは、何か作品を作るアーティストには不可欠なものです。「業」の深くないアーティストなんて、語義矛盾だと思います。「業」のない人間は作品を作って人に差し出して、感動させるなんて芸当はできません)がうかがい知れて、興味深かったです。封入されていた自伝(年表)も、結構ヘヴィな事をさらりと書いていたりしましたが、それが却って「凄み」を感じさせます。

また、彼女の「歌」はこの数年間ずっと聞いてきましたが、インタビューやライブのMCなど、しゃべる声は久々だ、という感動もありました。10年ほど前だったかな、FM放送(確かBay FMだったかな)での深夜番組以来だと思います(この番組は、ずっと聞いていました)。相変わらず良い声だよな、しゃべる声も。

そして、僕はこのDVDを見て、祥子さんの「可傷性(ヴァルネラビリティ、vulnerability)」を感じ取り、それが僕に「感染」して、僕も、祥子さんの歌声によって「傷つけられる」準備ができてしまう、というのを感じたのです。ふつう「可傷性」というのは現代思想とかで「暴力を誘発するようなこと」という意味で使われています。要するに「自分が手を出したら、その人は容易に傷つく、もしかしたら死んでしまうかもしれない」というような状態を指し、そのような者を目の前にしたときにどのような「倫理」が発生するとか何とか、難しい議論がなされていますが、僕はこの言葉をあえて違う意味、というか広い意味で捉えたいと思っています。音楽にしろ何にしろ、芸術活動っていうのは、「届く相手」がいなければ何の意味もありません(後世に発見されたとしたら、その後世の人に「届いた」わけです)。そういう意味で、アーティストという存在は、基本的に、消費者である我々が簡単に「傷つけ得る者the vulnerable」だと思うのです。「無視する」だけで、アーティストは容易に傷つきます。
でも、一旦作品に何らかの「到来」を感じてしまった消費者たる我々は、今度は逆に、その作品に「傷つけられる=感動する」ことになると思います。そして、アーティストの作品に、そのような「出会い」を持つものを「ファン」というのだろうと思います。そして、そのような出会いをして、傷つけられることは幸せだと思います。そして、ゲストの直枝政広さん(CARNATION)が言っていましたが、祥子さんの世界は「女性のもろさと強さの両極端にふれているところがあ」り、その部分が僕にとって「到来するもの」なのだと思います。

で、具体的に、DVDの中身ですが、「Happiness」が最高!!この曲は祥子さんが25歳の時に作ったもので、「生まれてからもう25年も」というフレーズがあるのですが、ライブ映像の時は、「38年も」と歌い直していました(笑)。
でも、祥子さんのようにかっこよく年をとる人って、本当に少ないと思う(男女問わず)。祥子さんより6歳下の僕は、まだ挽回のチャンスがあるかもしれないので、精進あるのみ。僕のある女友達が(Uちゃん、君のことだよ)、20代の終わり頃に「(あんたたち)男は年をとると「渋さ」が付いてうらやましい。女は年をとること自体がすごくマイナスだもの、やんなっちゃう」とか言っていたが、今のところ、僕はまだ残念ながら「渋み」の対極にいます(笑)。
あと、「PASSION」と「依存と支配」もいい。二回見直しちゃいました。ラストの「忘却」、これはアルバムなどに未収録の歌(のはず)。初めて聞いたもの。これはプロモーションヴィデオの作りになっていて、彼女が生まれ育ったとおぼしき多摩川沿いでギターをかき鳴らすシーンがあり、これも格好いい(彼女は大田区大森の育ちなんだとか)。

このDVD見たせいで、CARNATIONのアルバム、買いたくなっちゃった。僕は『a beautiful day』しか持っていないので。

深夜に見ちゃって、興奮冷めやりませんが、お休みなさい。

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Comments

川瀬さんのページ毎回見てます、川瀬さん、鈴木祥子のファンなんですね、ますます親近感がもてました。自分も若い頃谷村有美、鈴木祥子のファンでした。特に鈴木祥子の曲でおきになのが「VIRIDIAN」というアルバムにはいている「さよならの朗読」という曲ですね。後アルバムでは「Harvest」そのほかの曲では「優しい雨」が最高ですね。でも近頃はCoccoの曲を聴いている機会が多いです。
 追伸、川瀬さんの国際情勢に関する視点、バランスが取れている気がします。誰かがトラクバックでも書かれていましたが。川瀬さんのコメントも見るたびに自分の胸の中にあったモヤモヤしたものがはれていくきがします。                        

Posted by: 潜在的ニート | April 24, 2005 at 02:22 AM

「潜在的ニート」さん、こんにちは。いつも読んでくださっているようで、ありがとうございます。

僕も昔、谷村有美とか、あと遊佐未森とか、よく聞いていましたねえ。要するに、顔と声のいい女性シンガーソングライターを聞きまくって、エピック・ソニーとかを儲けさせていたわけですが(笑)。バービーボーイズとか、米米クラブとか、レベッカとか、よく考えると、80年代後半の僕のJ-POP遍歴って、レコード会社としてのソニーを抜きにしては語れないことに今気づきました。

>特に鈴木祥子の曲でおきになのが「VIRIDIAN」というアルバムにはいている「さよならの朗読」という曲ですね。

ファーストアルバムとは渋い!!このコメントに触発されて、僕も引っ張り出してきましたよ、「VIRIDIAN」。僕はこのアルバムでは「ベイビー、イッツユー」が好きですね。

>川瀬さんの国際情勢に関する視点、バランスが取れている気がします。誰かがトラクバックでも書かれていましたが。川瀬さんのコメントも見るたびに自分の胸の中にあったモヤモヤしたものがはれていくきがします。

恐縮です。まあ、ある人が読めば、僕の意見もバランスどころか「偏っている」と読めるかと思いますけど、「対話」の可能性は、どこかに残そうとはいつも思っています。

Posted by: 川瀬 | April 24, 2005 at 02:26 PM

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Tracked on April 24, 2005 at 11:56 PM

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