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April 07, 2005

また一人の「天才」が消えてしまった

vol1 さきほど、僕が入っているSNSのmixiで知ったのですが、マンガ家の岡田史子先生が、今月三日に心不全でお亡くなりになったそうです。享年55歳。mixiでこの訃報を知らせてくれた方は、岡田先生の息子さんとお友達なのだそうです。

まずは、ご冥福をお祈りするとともに、日本漫画界がかけがえのない「天才」をまた一人失ったことを惜しみます。明日、所沢の小手指にある所沢教会で本葬だそうです(11:00~)。

岡田史子さんは、一部でまさに「天才」と絶賛されていましたが(岡田さんの一番の賛美者は、萩尾望都先生でしょう)、はっきりいってその作品は一般受けする性質のものではなかったと思います。これほど読む人を選ぶマンガも少ないのでは、と個人的には思っているほどです。

実は僕も、最初それほど良いとは思いませんでした。いや、正確にいえば、読む度につらくなるので、なるべく目に触れないようにしていたのです。

彼女の代表作であった『ガラス玉』(朝日ソノラマ)も、ラッキーにも古本屋で入手したのに(古本屋でこれを買ったとき、店長が「いい買い物したね」とニヤッと笑ったことを覚えています)、繰り返し読むのがつらくて、結婚して引っ越すときに売ってしまったのですが、結局、画像で示したアンソロジーを買い直してしまいました(飛鳥新社から出ています。入手可)。

彼女の作品は、こういう言い方をすると誤解されるかも知れませんが、人に訴えたり、人を癒すというよりは、「読む人を傷つける」ことを意図して描かれたのではないか、とさえ僕は思っています(こんなことを言うと、もしかしたら岡田先生はお笑いになるかも知れませんが)。僕はこのような製作態度を否定しません。読む人、見る人のトラウマを目指す創作活動は「あり」だと思います(映画監督のアレハンドロ・ホドロフスキーも、同様のことを言っていたと記憶しています)。それが僕が彼女の作品を一時避けていた原因であり、それと同時に、再び購入させた原動力だと思います。別の言い方をすれば、僕はいつの間にか、まさに「トラウマ」というものが言語化できないのにその人のアイデンティティに決定的な影響を与えているのと同様に、岡田先生の作品に「傷つけられ」、それ故に再び求めざるを得なくなった、ということを言いたかったのです。

最後にもう一度、ご冥福をお祈りいたします。

修辞ではなく、魂の平安あらんことを。

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Comments

禅宗で世界の外側へ行ってまた世界の内側へ帰って来ることを『十牛図』で表していたように思いますが、私は宗教界と常識界の往還についてはその程度しか知りません。ただ、岡田先生の60年代の『COM』への登場とその後の永らくの不在を実体験してきたものとしては、岡田先生は『行ったきり』の天才として、原口統三、奥浩平、宮谷一彦、青柳祐介、などの系譜の一人として数えられると考えます。とすれば、『超行ったきり』の天才の一人であり、多くの人々を確実に傷つけた『麻原ショウコウ』こと『松本某』を非難して『岡田先生』を賛美するのはいかがなものか、と考えます。岡田先生を賛美するのであれば『麻原』にも一定の敬意を払ってやるべきではないのでしょうか?(吉本隆明のように)

Posted by: natunohi69 | April 08, 2005 at 11:47 PM

ちなみに、つげ義春先生ややまだ紫先生が偉大なのは、『行って帰って来たから』あるいは『外と内との往還』を作品の内に抱えてそれが読者に生きる勇気を与えてくれるからだと考えます。そこら辺の事情を身も蓋もなく解説しているのが今上映中の『真夜中の弥次喜多』の原作マンガ『弥次喜多inDEEP』(byしりあがり寿)だろうと私は思っていますが。

Posted by: natunohi69 | April 09, 2005 at 12:18 AM

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Tracked on April 08, 2005 at 07:04 AM

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