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June 13, 2005

「その時代にはなかった言葉」

またまた、中山文部科学大臣が奇妙な発言をしたらしい。この人、どうしてもこういう事を言いたいお人らしい。「無意識」にある考えがどうしても口をついて出てしまう、立派な精神分析の対象だな、こりゃ。それで、開き直るかと思ったら、すぐ反省のふりをして見せたり、官房長官が火消しに奔走したりと大変なことに。

毎度、お勤めご苦労様ですと皮肉も言いたくなるが(こういうことを言いたがる人だから、文部科学大臣に択ばれたんだね、恐らく)、このおっさん、もう確信犯だね。多分、彼の主観としては「こういう事をはっきり言わないで、何のための文部科学大臣か」と思ってらっしゃる事だろう。

「その時代、その言葉はなかった」などと言うなら、分析概念として、英語の直訳である「性奴隷(制度)sexual slave (slavery)」とでも言ったらどうか。そもそも「慰安婦 (comfort woman)」という言葉は欺瞞的だ、なんて意見すらあったのだ。
「封建制度」も「家父長制」も、それが猛威を振るっていたときは、その言葉は当然使われていなかったですよ。でも言葉がなくたって、「そういうもの」は在ったのだ。「言葉があった」事と「そのような実態があった」事はレベルが違うし、官房長官がいみじくも言うように、「そういうことがあったこと」は政府も既に認めていることなのだ。

いい加減「本音を言うことは内容を問わず、良いこと」なんていう青臭い意見は、無しにしてください。「そういう意見を持つな」とはもう言いません(ホントは言っていますが)。「思想・言論の自由」はありますから。でも、あなたみたいな人が言うな。もう勘弁してください。情けなくて、涙がこぼれる。

以上。

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Comments

そういえばこの大臣。中学生に「学力低下」で申し訳ないと謝罪して、「土下座」まで演出した御人ですよね。今回はどうして「土下座」しないんだろう?

Posted by: amgun | June 14, 2005 at 07:54 PM

とにかく、良く「失言」なさいますよね、この大臣。要する、「本音」がついついボロッと出るタイプの性格なのでしょう。政治家には向きませんわな、単純に。
もうちょっと「狡賢く」なってくださいよ、といいたくなりますが、あまり狡賢くなられるのも困りもんですけどね。

でも、「ジェンダーフリー」バッシングとか、諸々の他の動きと連動した発言だと思いますので、馬鹿にするだけじゃなく、注意が必要だと思っています。

Posted by: 川瀬 | June 14, 2005 at 08:20 PM

こんにちは。

ちょっと思い直したんですが、官房長官の発言はやっぱり重いと思うんですよ。
「従軍慰安婦」なかった派というのは、「あったという証明はそれほど確実ではない、ゆえになかったと推定する」という論理をとっているとすると、そういわれてしまうと、けっこう一般人には抗いがたいように思うのです。う~んやっぱりなかったのかな、と。
でも、政府が否定せず肯定もせず、みたいなところから「いや公式に認めている」とはっきりすると、そのことを教科書に復活させるのは、そんなに難しいことではないように思うんです。

政府要人の発言を引き出すトリガー役として某大臣は機能したんじゃないかと前向きかつシニカルに受け止めてもいいのかなと。

Posted by: swan | June 14, 2005 at 09:28 PM

swanさま、確かに、官房長官のコメントをそういう風に前向きに受けとめても良いかもしれませんね。中山大臣のおかげで、政府の公式見解がちゃんと再度アナウンスされた、という面は確かにありますし。

教科書に復活するかは、今の時点では判りませんが、ちょっと敷居が再び低くなったかもしれませんね、今回の騒動で。

Posted by: 川瀬 | June 14, 2005 at 09:55 PM

こんばんは
Feudalismでなく中国の封建制と言う言葉に関しては周代から古代文献にもあったのではなどという、揚げ足取は致しませんが、言葉に関しては慎重に扱うことのほうがいいと思います。
私はジャパンタイムスやクワラスワミ報告書が使っているような「性奴隷」には反対です。
「従軍慰安婦」にかんしましては、こちらのほうでたたき台にできるような討論資料がありますが、
http://www.jca.apc.org/nnpp/ianfu.html#shiryou
この中にもありますように「慰安婦」といってもいろいろな場合があった。ということが言えます。
現に、韓国では「挺身隊」ということばがいわゆる「慰安婦」と同意義に使われ、間違った認識による差別がまかり通っていると聞きます。

Posted by: 如月イレブンth | June 15, 2005 at 11:10 PM

如月さん、僕も、学者の端くれとして、言葉の使い方には気を遣っている方です。僕はあくまで「分析概念」という言葉を使っているはずです。よくお読みください(そもそも西洋のfeudalismを「封建制」と翻訳して良いかが、西洋史の大きなテーマであることも心得ております)。
そして、今回のエントリは、もちろん嫌味のつもりですが、「当時の言葉」にこだわるんなら、そういう手合いには、それを抽象化した「分析概念」でその事実を突きつけてやりたい、と考えたからです。そもそも「従軍慰安婦」という言葉も、「軍隊と行動を共にさせられ、慰安所にいた女性たち」というものをまとめて言うために、「分析概念」として出されたものといって良いでしょう。「戦後の造語」なのは、ある意味当たり前です。
あと、僕が問題にしているのは、「そういう言葉はなかった」ということがいつの間にか「そういうことはなかった」とすり替えられかねない事です。大臣氏は、すぐに発言を撤回しましたが、あわよくば、そういうのを狙っていたような感じがします。

あと、一つ付け加えれば、僕個人も「性奴隷」なんて言う残酷な言葉は使いたくはありません。

あと、「慰安婦」に多様性があった、それは事実でしょう。その「被害の度合いが相対的に低かった人」をクローズアップして、「大したことはなかった」という手合いがいなくなればなあ、と僕は願っています。

Posted by: 川瀬 | June 16, 2005 at 12:22 AM

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Tracked on June 16, 2005 at 09:43 AM

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