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September 06, 2005

人生で大事なことはネットからだけでは学べない

ネットをうろうろしていたら、大学の講義の情報(楽勝度が最重要項目だろうが)を収集するサイトやら、中には、レポートを集積して、「さあ、皆さんの元ネタにしてください」という主旨のサイトまであって驚く。探せば、類似のサイトはたくさん出てくるだろうし、これからも生まれるだろう。今日は「講義」の評価をするサイトについて、ちょっと考えたことをメモしたい。

こういうサイトができるのは、時代の趨勢だろう。インターネットという便利なツールが目の前にあるのだから、それを利用するのは、ある意味当然だろう。ネットは、不特定多数の人から情報を得ることができるし、情報提供者の心理的負担も少なかろう。しかし、教育する立場の者として、敢えて古くさいことをいいますが、こういうサイトの情報を鵜呑みにしたら、やっぱだめですよ。メディア・リテラシーという流行りの言葉を使っても良いが、要するに、「人の話を「話半分」に聞くことができること」がメディア・リテラシーなのだから。もう少し、疑う心も持ちましょう。

もちろん、僕も学生時代には先輩や同級生から、大学の色んな講義の情報を入手し、参考にしていた。先輩からもらった「オリエンテーション・パンフレット」(そういうのもあったんです)には、ちゃんと教官の「鬼・仏表」なるものもあったと思う。しかし、僕たちは、その情報を発する人間の「人柄」を勘案して、その「鬼・仏表」を判断していたと思う。つまり、信用できる人間からの情報か否か、ということだ。だから、「口コミ」は当たり外れが少なかったと思う。情報を教えてくれる人間の性格を考慮すれば、「彼には合うだろうけど、俺には合わないだろうな」ということまで考えられるからだ。しかし、ネット上の無責任な情報だけで判断すると、ひどい目に遭うことも増えそうだ。逆に、実際出てみればいい講義かもしれないのに、ネットでの噂だけで判断して、受ける事すらしない、なんていうのはもったいないと思う。まあ、本は素晴らしいけど、講義はイマイチ、という先生もいらっしゃったが(「これなら、独りでこの先生の本を読んだ方がいいや」と見切ってしまった講義もままあった)。

また、ネットは、求める情報は出てくるかもしれないが、それ以外の、自分の想像の埒外のことについては、ほとんど教えてくれない。これも、ネットの欠点の一つだ。シラバスの分厚い冊子をパラパラと見ていると「へえ、こんな科目もあったんだ」と発見することがある(僕は教員となった今も、他学部・他学科のシラバスも結構読んでいる)。シラバスを見るだけでも、自分の知らない世界というものがかいま見られるし、大げさにいえば、自分の殻を壊すきっかけとなる。
これこそ、大学らしい「知の見つけ方」だと、僕は思う。

直接的な人的交流が、大学という現場には決定的な意味を持つ、と僕はある意味愚直に思っている。ゼミナールなんか、その最たるものだと思う。google先生や、上記のようなサイトだけから、全てを教えてもらおうってのは、ちょっといただけない。

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Comments

冒頭に紹介されている二つのサイト、
前者は知ってましたが、後者は知りませんでした。
すごくよくできてますね。
(ただし、どうやって収益をあげるのか、一切ナゾ・・・)

とくに後者を閲覧していて思ったのですが、
こういうのは「アリ」だな、と。
まさに道具としてこういうのは使われていくことになりましょう。
この流れは止まらないし、止める必要もない。
川瀬さんに同意です。

ただし、「レポートの元ネタ」でおしまい、
「自分の想像の埒外」を開くことない「情報」でおしまい、
ということに いかにもなりそうなのが、なんとも惜しい。

使い様によっては、すごく充実したものになりうるだろうに、
使う側の好奇心、知性、センスが劣っていれば
(加えて、オルガニックでリアルな交わりが欠けていれば)
創造性のかけらもない バカ言葉の生産につながるだけでしょう。
ここでも、川瀬さんに同意です。

で ですね、川瀬さん、ちょっとしたお知らせがあるんです。
もうちょっと大学教員・若手研究者の側の意図を入れた、
「アリ」で「使える」のと同時に、「知的に面白い」
ポータルサイトを いま構想しているんです。

川瀬さんのこのブログは、まさにそういったものだけど
(だから、僕はいつも読ませてもらっているのだけど)
こうしたのを 仲間内でより強固にネットワークして
新企画(インタヴュー、断章集など)も立てて
データベース(書評、文献表など)も統合したり新設したりして、
みたいな そんなイメージです。

そういうので、つい最近、動きが出始めたんです。
Wくん+僕⇒Mちゃん の順に。
も少ししたら川瀬さんにも声をかけよう、って言ってたんです。

ここで公開勧誘はあれなので、またメールしますが、
ともあれ 僕が言いたいのは 次のことです。
======
僕も大学教育者の端くれとして、
インターネットを介して 伝えたいことを ちゃんと形にしたい。
バカ言葉を避けたいと願っている学生さんたちの
お役に立てる、使いやすい サイトを作りたい。。なぁ。。
======

さらに ここに
「そして なんとかそこから 収益もあげたい。。なぁ。。」
という願いが加わります。
しかし、その点はあまりに唐突なので、また別の機会に。
あしからず。

Posted by: コンドウ | September 10, 2005 at 11:16 AM

コンドウさん、今、学会から自宅に帰ってきたところです。連日のお勉強&飲み会で消耗しています。

では、ここで聞くのもなんですから、詳しいメールをお待ちしています。

あと、近藤さんがおっしゃるとおり、「もったいない」というか、こういうサイトは「使いよう」かもな、というのは、僕も思っています。

Posted by: 川瀬 | September 10, 2005 at 10:45 PM

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