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February 13, 2006

ドミニカ「棄民」のドキュメンタリー

深夜に何気なくテレビを付けると、なにやら深刻そうなお爺さんの顔が映っていた。僕が偶然見た番組は、日本テレビ系列の「NNNドキュメント'06」だった。話していたのは、50年前に国の斡旋で(ここ重要)中米のドミニカ共和国に移民として渡った山本さんという方。番組のホームページから、内容の要約を引用すると

神奈川の工場で働く山本ノボル(22)。ドミニカ共和国の日本人入植地で生まれた。祖父・福槌は50年前ノボルの父・新ニらを連れドミニカに渡った。当時 外務省が作った募集要項は農地18ha、東京ドーム4つ分の無償譲渡を約束。しかしドミニカに渡った1319人のうち約束の土地を手にした移民はいない。 祖父の田は未だ所有権がなくあるのは耕す権利だけだ。6年前移民たちは祖国日本に32億円の損害賠償と謝罪を求め提訴。しかし長引く裁判にノボルの祖父母 ら16人が他界した。ノボルは言う。「日本は約束を守るイメージがあったのに」移民が祖国を訴えた初の裁判にこの春、判決が下る。

というもの。ドミニカ移民が、ほとんど詐欺のような移民をさせられて、2000年に日本政府を訴えたのは聞いていた。祖国から捨てられた自分たちのことを、「棄民」と呼び、地球の裏から「祖国」を訴えた彼らの無念は、察してあまりある。
1年ちょっと前にもフジテレビ系列で放映されたドミニカ移民のドキュメンタリーを、これまた偶然に見ていたのだが(日テレもフジも、どうしてこんなに素晴らしい番組を深夜に入れるのか)、今回改めてその問題を考えさせられた。

さて、気になる裁判の行方だが、国会においては小泉首相が外務省の不手際を認める発言までしたのだが、前の判決では外務省が法律論を盾に取り「時効」を勝ち取った。要するに「棄民」側の敗訴である。原告の一人は「日本政府は人間なのか」と絞り出すような声で記者会見で答えていた。僕などは単純な人間だから、本当に腹が立った。このような判決を出した裁判所も、そのような法律論に持ち込んだ外務省も、共に「法匪」だと思う。長引く裁判で、原告のうち何名かはもう鬼籍に入っている(ときどき思うんだが、日本の裁判所って、牛歩のような裁判で、原告が死に絶えるのを待っているんじゃないか、と妄想したくなるくらい、効率が悪いよな。まあ、パッパと死刑判決が出てしまうような国も、それはそれで問題だが)。
ちなみに番組にも出ていたけど、自民党の尾辻秀久氏が、国会において外務省を追求して、良いこと言っているのだ(これとかこれ)。久々に自民党議員を見直しましたよ(笑)。尾辻さん、日本遺族会の副会長とかもしてたり、「正しい歴史」がどうたらこうたらとか言っていたり、完全に「右」の人なんだけど、ドミニカ移民の件に関して(だけ)は素晴らしいですね(他の政治的信条は全くそりが合わないけど)。あと、民主党では川内博史氏が、この問題に取り組んでいますね(これとかこれ)。
でも、外務省の役人も、可哀想だな、とも思う。これだけ責任回避の言辞を弄しなければいけないんだから。凄まじきものは宮仕えかな。

ともかく、この春の判決に注目です。

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Comments

僕もこれみました。ほんとに腹が立った。なんであやまれないのだろう、外務省は。お金か?ほんとに酷い。取材に出てた外務省の親父、あいつだれだ?この番組ってそーっと放送されてそれで終わりなんだろうか?ほんとに酷いですね。日本の役人って自分のことしか考えてない。日本人なのに日本では外人扱い、祖国からは邪魔者扱い。かわいそすぎます。なんか。。。

Posted by: じぇーびー | February 18, 2006 at 02:00 AM

じぇーびーさま
僕みたいな「ずるい」人間がもしあの役人なら、今人気が凋落している外務省の評判を上げるためにも、わざと政治家や裁判所に根回しをして(本当はこんなことしたら三権分立もへったくれもないんですが)、賠償金を払うようにもっていくように工作しますけどねえ。「損して得取れ」というか。外務省みたいなお役所は、国民にどう思われようが関係ない、と思っているのかも知れませんが。

Posted by: 川瀬 | February 19, 2006 at 01:05 AM

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