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« 修学旅行顔負け | Main | 「韓流」は何をもたらしたか? »

May 08, 2006

「法人化」の本音は一体・・・

昨日、朝日新聞社の『論座』(6月号)を購入しました。
というのも、特集記事に、国立大学の法人化問題があったからです。国立大学が法人化されて約2年経ちますが、この号では、東日本の国立大学を中心に、学長に「法人化して良かったか」と功罪を問い、「プラス面」「マイナス面」「悩み・国への要望」を答えてもらうアンケート調査をしていて、僕の勤務校(公立大学です)はまだ正式には法人化されていませんが、決して他人事ではないので、ついつい買ってしまったというわけです。

先ほど、ざっと読み終えたのですが、僕からすれば意外なことに、結構「どちらかといえば法人化して良かった」と答えた学長が多いのですね。もうちょっと「マイナスだった」と答える学長がいるかと予想していたのですが、これは、僕の「希望的観測」でした(以前「公立大学を「効率」大学にすべきか」というエントリを書いたこともあります)。

マイナスだった、と答えているのは、地方の比較的小さめの大学と、教員養成が中心の大学でしたね。あと、東京芸大もマイナス、と答えていました。このあたりの大学は、理工医薬系のように外部資金調達ということがおぼつきませんからね。僕の勤務する文学部も、外部との産学提携などが望むべくもないところなので、教育学部中心の大学の「悲鳴」は、まさに我が事のように感じます。

工学系や医学系中心の大学は、多くが「法人化して良かった」と単科大学ですら答えていますが、元々大きな旧帝国大学と急に「同じ土俵」で闘わされる羽目になったこと(事務をサポートする職員の数からして少ないのに、事務量は膨大になって首が回らない、など)については、これまた一様に不満と不安の声を上げていました。

しかしよーく見ると、「法人化してどちらかといえば良かった」と答えている学長の中に、「プラス面」より「マイナス面」を長々と書いている人がいたり、もしかして本音は「マイナスなんだけど、法人化してプラスっていわないと、それこそ責任論が浮上してやばいしなあ」などと思っておいでの学長がいらっしゃるのではないかと思わず穿った見方をしてしまいました(笑)。さすがに諸手を挙げて法人化万歳といっている人はおらず、国の予算削減に関して(大雑把に言って、「自分で努力しなさい」ということで、年々削られていきます)「何とかならないか」と多くの学長が愚痴っています。

さて、僕なりに今回のアンケートを強引にまとめると、「マイナス面」もしくは「不安」「不満」は要するに「長期的な展望を描けない。描こうにも目の前の仕事で忙殺されてしまう」という事に尽きると思います。国からのお金は徐々に減る、仕事(事務作業)は増えるという状況では、、腰を据えての研究というのができなくなっていくでしょう。それはボディブローのように、数十年後の日本の「屋台骨」を軋ませはしないか、という不安が異口同音に語られているように思います。僕も同感です。ある学長の言葉を借りれば「国の財政負担はほんのわずかに軽くなるだけなのに、教育・研究の質は確実に低下していくことは間違いない」のです(ちなみにこの学長は、「法人化自体にマイナスはない」と答えているのです)。
構造改革で無駄を削った、と政府が豪語するなら(実際は大したことがないらしいですが、それはさておき)、大学をはじめ、高校以下の教育の方にもうちょっと、その余った分のお金を投資してくれればいいのにと、ちゃんとした人材を養成するしかない「資源小国」の国民の一員として思います。そういえば、「公務員削減」の大きな部分って、国立大学の教職員なんですよね・・・。

追記:特集記事で、東大教育学部の広田照幸先生の文章も興味深かったです(「危機に瀕する研究者養成の場―人文・社会科学系大学院の現在」)。でも、この文章で一番びっくりしたのは、東大院生の態度。曰く「内輪の研究会のレジュメの右肩に「引用禁止」の文字を入れてきた(仲間に研究成果を奪われたくない)」「共同研究の仕事を任され損をした、と愚痴ってきた(共同研究で様々な交わりから学ぶより、自分の仕事を優先させたかった)」「基礎・基本を教えて欲しい、と懇願してきた」とのことで、もしかしたら「知の共同体参加モデル」の最後の方の住人だったかも知れない僕は「さすがにこれは・・・」と思ってしまいました。東大でこれなのだから、あとは推して知るべしでしょう。広田先生もショックだったとか、。僕もショックです。
でも、これらの現象は、文部科学省の無定見(と僕には思えます)な大学院拡充策の「果実」なのです。

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Comments

私の大学(地方国立大・農学部)の恩師が先日亡くなりまして、
告別式に参列しました。

そこで印象的だったのが学部長が弔辞の中で
「法人化の嵐の中で、さぞかし大変なご苦労をなさっていたことと思います」
と絞り出すような声で苦しそうに述べていたことでした。

農学、それも森林関係の研究室は
バックの産業が衰退の一途で資金調達が困難、
かつ研究の成果が出るまでに
それこそ10年単位の時間が掛かります。
法人化には全くそぐわない研究室に先生はいました。

ガンという病魔と大学の法人化、
両方と数年に渡って闘いながら、
先生は、2年後の定年を迎えられずこの世を去りました。
研究も教育も手を抜くことの無かった先生は、
ガンに冒されずとも、この法人化の波によって
相当憔悴させられ命を縮めていたかもしれない、と
その弔辞を聞いて憤りを覚えました。

どうか、タカヤさんは身体に気をつけて
研究生活を続けられますよう。
私にはただそれしかコメントできないのですが…

ひつじさま、コメントとお気遣いありがとうございます。
まず、ひつじさんの先生のご冥福をお祈りすると同時に、過当競争を強いてゆっくり考えることを許さない現在の大学の構造に、腹を立てています。これは文系理系を問わないと思います。

僕も具体的な成果を「ハイこれですよ」と差し出せる学問ではないので(文系の学問は、大体そういうものですが)、これまた「他人事」とは思えません。
でも基礎的な研究は、数年後に成果が出るかどうか判らないからこそ、営利目的ではない場所、すなわち大学やその手の研究所で行うべきなのではないかな、と思うのですがねえ、この理屈はもはや通じにくくなったようです。少しは「抵抗」しようとは思っていますが。

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