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December 08, 2006

上野洋子ソロライブ@Rain Dogs

さて、今日は僕にとっての永遠の歌姫の1人である上野洋子さん(以下、洋子さん)のソロライブに行って参りました(今年は洋子さんのデビュー20周年という記念すべき年でもあります。ちなみに僕は、約17年前にZABADAKの存在を知りました)。洋子さんは人とのセッションを数多くこなしていても、自分の曲だけ歌うというソロライブは、ZABADAKを離れてから(1993年)何と初めて。本当は風邪気味で体調は良くなかったのですが、これは這ってでも行かねばならない(折角抽選に勝ち抜いてチケットを手に入れたし)、という使命感でもって、梅田のライブハウス「Rain Dogs」に向かいました。ここは、阪急東通りという風俗街を抜けたところにあります(まんだらけ大阪店のもう少し向こう側ですね。裏の方には、今は亡き「バナナホール」がありました。去年は、ここに鈴木祥子さんのライブを見に来たんだよな、嗚呼)。ライブハウスのホームページには、二通りの行き方が書いてあったのですが、恐らく、風俗街を通り抜けたくないというお客のために、表通りからの行き方も並記しているのでしょう。

何事も慎重な僕(嘘)は、開演一時間半前に、とりあえずライブハウスの位置を確認するべく一旦このお店に向かったのですが、最初は上手く見つけられませんでした。おかしいなあ、確かこの辺だ、と思って地図をもう一度見ていたら、リハーサルの音が聞こえたのでそこに猛ダッシュして発見しました。リハーサルの音が漏れ聞こえるのって、やはり得した気持ちになりますし、一気にテンションが上がりますよね(しかも、その時聞こえたのはZABADAK時代のある曲でした。後述)。

ではここから、ライブレポートを書きたいと思います。
早めに夕食を食べて、開場15分前に行くと、既にそこは長蛇の列。年齢層は、予想通り、そこそこ高かったです(僕も平均年齢を上げている方に入るでしょうけど)。男女比は、パッと見で男女比4:6くらいだったと思います。意外と男性も多かったですね。一昔前のZABADAKのコンサートでのファン構成と、ほぼ一緒という気がします。僕は整理番号70番台だっだのですが、もうその時点で一階のフロア席は満席で、否応なく二階席に誘導されました。いやあ、この会場、悪いけど狭いっ!(あと、ドリンクは二つもいらない)バンドのメンバーが多いせい(あと、色んな楽器を使うので、機材の置き場が必要)で、一階のフロアの半分以上がステージという大変なことに・・・。二階も立ち見がぎっしりの超満員。僕は二階席(コの字型)の左手の真ん中あたりに座りました。そこからだと、ちょうど洋子さんの左側の横顔を見下ろすこととなると思ったからです(事実そうなりました)。
さて、まずはバックのメンバーを書き写すと、
海沼正利:Percussion
鬼怒無月:Guitar
仙波清彦:Drums
武川雅寛:Vln,tp,mandolin
棚谷祐一:Keyboard
中原信雄:Bass
という超豪華メンバー。僕が以前に拝見したことがあるのは、仙波清彦師匠だけですが(大分前ですが、今は亡き六本木Pit Innでのライブでした。その時のゲストが、ZABADAKの吉良知彦さんと、元モダンチョキチョキズの濱田マリさんだった)、武川さんは「ムーンライダース」のメンバーですし(バイオリンにトランペットと、八面六臂のマルチプレイヤーぶり)、他もセッションミュージシャンとして色んなところに顔を出している方々ですね。

予定より約10分ほど遅れてライブはスタートしました。僕は、生の洋子さんを拝む(こう表現したくなるのです、僕としては)のは、1993年の、忘れもしない、日比谷野音の「のれんわけ」コンサート(洋子さんがZABADAKを脱退したコンサート)以来です。洋子さんとバックメンバーがぞろぞろと登場。洋子さん、相変わらず小さい(失礼)。でも、ホント年取らないよなあ(もっと失礼?)。洋子さんは暖かそうな素材でできたワンピースとキャメル色のブーツで登場。セットリストは、判ったり調べたりした範囲で、以下の通りでした(間違いもあるかと思います。正しい情報をお教えいただければ幸いです)。カッコの中の楽器は、洋子さんが使ったものです。

1)星の祝祭(ニューアルバム『asterisk*2』所収、アコーディオン)
2)水(『SSS』所収、アコーディオン)

久々に聴く洋子さんの生の声に、ふるえが来ました(特に一曲目は、いかにも洋子さんらしい作りの曲だと思いました。事前にニューアルバムを買って「予習」できなかったことが悔やまれます。僕はこの日の物販で購入)。十数年前、この声に出会ってしまったんだなあ、と感慨ひとしきり。
ここで洋子さんが初MC。洋子さん曰く、「このライブハウスは外見とお酒の多さで決めたのだけど、思った以上に狭くて済みません。でも、近くてお得と思っていただけると」ということで、みんな賛同の意を込めて拍手。でも洋子さん、そんな安易な決め方だったんですか?(笑)

3)わたしの畑で(『Nursery Chimes』所収、ティン・ホイッスル、スプーン)
4)出会いのページから(渡瀬悠宇の『ふしぎ遊戯』イメージアルバムから。鈴)
5)赤い月(ニューアルバムから。アコーディオン)
6)Hide in the Bush(超懐かしい。ZABADAKの最初のフルアルバム『Water Garden』所収)

この五曲目と六曲目は変拍子で、上野さんや仙波師匠曰く「上級者向け」だそうです(笑)。最新作と、20年前の変拍子の曲を連続してやってくれたわけですが、実は、僕が数時間前耳にしたリハーサルの音は、この曲だったのです。これが聞こえてきたときは、鳥肌立ちましたよ。何曲か、洋子さんだけヴォーカルを取ったZABADAKの曲をやってくれるだろうとは予想していましたが、これは予想外。このちょっと「外した」選曲が、いかにも洋子さんらしい気もしますが。
そして、その直後は洋子さん曰く「お仕事三連発(笑)」。要するに、アニメなどの主題歌として作ったものという意味のようです。

7)海のオパール(最近放映が始まったばかりのアニメ「奏光のストレイン」の曲。まだCDが発売されていないので、二番以降は「本邦初公開」だそうです(笑))
8)忘れる水(「灰羽連盟」イメージアルバム『聖なる憧憬』より。インドっぽいノリのイントロ。洋子さんは、カサカサ音の鳴る小さなパーカッション)
9)ムシとフラワー(折笠富美子嬢への提供曲、『flower』所収。縦笛)

ここで洋子さんがメンバー紹介。1人1人が濃い人ばかりなので、自然と楽しい紹介となりました。でも、笑ったのが仙波師匠の紹介。「仙波さんは、いつも私の舞台衣装にダメ出しをするんです。ショートパンツをはけだとか肩は出さないといけないとか、色々。おかげで仙波さんと一緒の時はいつもは着ないような服を着て、体験できないようなステージを踏むこととなりました」とのこと(実際、ZABADAK時代の洋子さんも、舞台では可愛らしい衣装でしたが、普段着はざっくりしたものだったとの証言あり)。ベースの中原さんとは「遊んでいるときの方が、音楽を一緒にやっている時間より長い。真夜中に卓球しようと言えば来てくれる」とのことですが、どういう環境ですか(笑)。レコーディング中の煮詰まったときの遊び相手なのでしょうか?

10)メドレー(全6曲をメドレーで。洋子さん曰く「自分で墓穴を掘った(笑)」。洋子さんは珍しく弦楽器を抱えて演奏スタート。ブズーキだったかな?よく判りません)
Tower of Hanoi(『Puzzle』所収)
→対角線(Vita Nova『Shiawase』所収。「Voces Iberica」の一部)
→猫の地図(『Nursery Chimes』所収)
→届けたい、トトへ!(「小さき勇者たちガメラ」オリジナルサウンドトラック)
→Raspberry Heaven(アニメ『あずまんが大王』エンディングテーマ、アコーディオン)
→アジアの花(ZABADAK時代の名曲。『桜』所収、アコーディオン)

僕としては、後半の二曲が生で聞けたのには、感激しました。特に「アジアの花」は、「のれん分け」コンサートでも聴きましたしね。「Raspberry Heaven」は、この曲をきっかけに僕はあずまきよひこの『あずまんが大王』という漫画を手に取ったくらいですから。

11)パラフィン(『asterisk*1』所収。鬼怒さんのギターだけをバックに歌う。しっとり)
12)カモメの断崖、黒いリムジン(『asterisk*1』所収、途中インプロビゼーションっぽいノリが)

ここでMC。「さあ、ここから後半戦になりますが、このバンドは平均年齢が高くて(笑)、体力的にも色々大変です」と洋子さんが言うと、仙波師匠から「こらっ」というツッコミシンバルが(ちなみに最年長は、武川さん)。洋子さんは「私はライブよりも、レコーディング室にこもっていることの方が多くて、疲れたら今日はやーめた、また明日にしよう、というノリで生きているので、ここに来てツケが来たようです(笑)」、と自己反省。

13)光さす、希望の彼方へ(折笠富美子嬢に提供した曲。彼女のアルバム『Lune』所収。鈴)
14)天使に近い夢(ZABADAK時代の曲。『私は羊』所収。大人しい人が多いファンも、この曲では手拍子足拍子とノリノリ。僕も涙腺が緩みました)
15)Root A(『asterisk*1』所収。変拍子のインスト。仙波師匠のドラムソロがすごかった。今回のライブは、パーカッションの海沼さんがいたせいか、仙波師匠はいつものような「飛び道具」的なパーカッションは無しでしたね(笑))
16)約束の花(『asterisk*1』所収。縦笛)

さて、ここで最後の洋子さんのMC。ここで何と重大な発表が。洋子さん曰く「一度やってみたいことがあるんですが、良いですか?」と前振りして、「実は、アンコールをやらないコンサートっていうのをやってみたいんです。映画のように、構成を考えてこのコンサートは作っているので、そのまま綺麗に終わりたいなあ、と思うんです。アンコールはあって当たり前で、やる側もアンコールにはこういう曲をやってやれ、と最初から考えるような、そういう悪しき習慣は止めたいな、と」とおっしゃるではないですか!!さすがに、ファンの僕たちは落胆を隠せませんでしたが、まあ、女神様のいうことだから仕方がない、と思いました。最後にこういう「うっちゃり」を出すところが、さすがちょっぴりへそ曲がり一筋縄ではいかない洋子さん(相変わらず男らしすぎるとも言えましょうか)。仙波師匠が後ろから「早くお酒飲みたいっていうのもあるしね」とツッコミ。それを受けて洋子さんも「そうなんです。このコンサートの準備で、このところ全然飲んでないのよ!!」と本音を暴露(笑)。洋子さんが知る人ぞ知る酒豪(というかお酒好き)なのは有名ですからね(確か、昔ファンクラブの会報で「スタジオでお酒がなくなって、エタノールにまで手を出した」という話に驚愕したことを憶えています)。というわけで、

17)Seven Swan Songs(『SSS』所収。しっとりと歌い上げる)

を最後に、今日のコンサートは以上のような形で、潔く終了したのでした。座っている場所の関係上、洋子さんの声が聴きにくいときもありましたが、それでも彼女の声は相変わらずで、改めて一生ついていこうと思いました

会場については、正直もっと大きなハコでやって欲しかったところですが(洋子さんが思っている以上に、潜在的な洋子さんファンは多いと思います。ましてやバックも豪華なんですから)、満足して帰ったのは言うまでもありません。無類のテクニシャンが本当に楽しんで演奏しているというのを見せつけられて帰ってきた、という感じです。
こうして、忘れないうちに書きながら思いだして行くうちに、風邪も治りそうな気がします(錯覚でなければいいのですが)。

追記:僕が判らなかった曲名は、このブログで教えていただきました。記して感謝します。

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Comments

トラバありがとうございました。思い出せなかった曲名がおかげさまで分かりました(笑)
詳しいレポも読めて嬉しいです。本当に良いライブでしたね。

Posted by: Neroli@quiet heart | December 11, 2006 at 01:28 AM

Neroliさま
早速のご訪問とTBありがとうございました。
僕が自力で判ったのは、6割くらいだったのです。特にアニメやサントラ関係はリサーチが追いつかなくて・・・。

僕もこの二日間、ライブの余韻を噛み締めては、ニューアルバムやら昔のアルバムを引っ張り出して一日中聴いています。
何でも、東京公演ではビデオが回っていたとか。ということは、DVD化したものが出るのでしょうかね。もしそうなら、迷わず即購入ですね。

Posted by: 川瀬 | December 11, 2006 at 01:40 AM

大阪のライブの様子拝見させていただきました!とても良かったことが伝わってきますし、東京のライブを観た後の今となってはひとつひとつのシーンが目に浮かびます。素晴らしいレポートをありがとうございました。

東京のライブの様子も折を見て記事にするつもりですので、その際はトラックバックを送らせていただきますね。よろしくお願いします。

Posted by: ウォーゼル | December 11, 2006 at 12:23 PM

ウォーゼルさま、ご訪問ありがとうございました。
検索でウォーゼルさまのブログは存じ上げていました。
僕の数倍「濃い」ファンでいらっしゃるようで(笑)。
昨日も色々検索して、東京公演の様子はどうだったのかと調べておりました。ウォーゼルさまのレポも楽しみにしております。

Posted by: 川瀬 | December 11, 2006 at 02:55 PM

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