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January 29, 2007

教育に金を掛けずにどうする

さて、安倍首相は教育問題に対して大変熱心で、教育基本法は変えちゃうし、「教育再生会議」という諮問機関を組織して色々発言させているわけですが、メンバーに居酒屋チェーン店の社長がいるからと言うわけでもないでしょうが、「そういえばあ、こういう事もあるよね」という居酒屋談義を続けているように見えるのは僕だけでしょうか。
この教育再生会議には、教育外の世界で功名を遂げた面々も大勢入っていて、それについては文句ないのですが(上記の社長についても、立志伝中の人であることを認めるのにやぶさかではありません)、教育学についての専門的な学者を一人も入れなかったというのはどういう訳でしょうか。まあ、専門家に入られると都合の悪い話をしようとしたのだろうな、という推測くらいはつきますね。そういう会議が「国家百年の計」と言われる教育行政の指針となるわけです。やれやれ。

この教育再生会議が最近出した「第一次報告書(リンク先はPDFファイルです。注意)」をざっと読んでみましたが、僕には物足りないと感じました(本当は物足りないと言うより、「いじめ問題」の対応とか「ボランティアの必修化」など、本当は色々突っ込みたくてしょうがないのですが、今回は控えます)。
何が物足りなかったかというと、「お金」のことがあまり触れられていなかったからです。要するに「教育再生」と言うからには「教育予算をうんと増やせ、教員数の大幅な増員を!」くらいのことを政府に答申するかと思っていたのに、そのような提言は(あまり)なされなかったようです。ある部門の先生の増員や、給与水準を上げてやる気のある人をスカウト、ということは書いてありましたが。その替わり「先生に対して免許更新制度を採用し、厳しく査定せよ」みたいな提言はありました(これまでの教育行政、殊に教育委員会の有り様を見ている限り、どういう基準で選ぶのか、十分に怪しいですが)。

一昔前、良く「30人学級の実現」と言うことが唱えられていました。少子化が進行しつつある現在でも、都市部においてこれはまだちゃんと達成できていないのではないでしょうか。
僕みたいな「素人」からすれば、先生の数をうんと増やしてこの30人学級(もっと少なくても良いですが)を達成できれば、教育再生会議で掛かっている懸案のほとんどは対応可能なのではないかと思うのですがねえ(習熟度別クラスとか、いじめ問題だとか、学習困難児に対するきめ細かい対応、という文言はどこかにありましたが)。予算増加といっても、基本的には先生の人件費だけなのですから、ダムとかの大がかりな公共事業やら戦闘機や戦艦をちょっと諦めれば、それくらいのお金が捻出できるように思うのですが。
保守的な人から、教育に対して「道徳心の涵養」やら「国を愛する心」だとか、そういう抽象的な要求が突きつけられている昨今ですが、「教育予算をがばっと増やします」というようなことを公約に掲げている与党の議員さんって、どんな方がいらっしゃるでしょうか。寡聞にして存じ上げませんので、ご存じの方はお教えくだされば幸いです。今後の選挙では、そういうことを公約に掲げていることを基準に投票したいな、と思っていますので。

教育に携わる者の一人として申し上げれば、予算を思いっきり増やして、現場に任せてくだされば、恐らくお正月、お彼岸、お盆とかに家族やふるさとの価値を子供に吹き込む(報告書20頁参照)よりも効果は絶大だということを請け負います。

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Comments

今回は川瀬さんの意見に全面的に賛成です!お金の話をしないのは現実的ではないですよね。

再生会議って、小渕内閣でも同じようなのをやったじゃないか!という既視感に激しく襲われます。

居酒屋のオヤジが意見したらいけないという訳ではなく、それと議員さんなりお役人なり(学者さんも?)の意見がちゃんと目に見える形で戦えば問題ないと思うんですよね。そうしないで居酒屋オヤジに広告塔を任せてしまうのは、後で批判されたときの責任逃れにも見えてしまいます。

あとリンク先の報告書に「30人31脚」の文字を見つけてちょっと苦笑。あれって個人的には「悪しき戦後民主主義」の象徴のような気がしてたんですが。

Posted by: だいだい | January 29, 2007 at 02:09 PM

こんにちは。こちらは久しぶりです。
教育関連予算の額は減っているんですよね。彼らの中ではお金をかけていないことは問題視されていない、のでしょうか。
>居酒屋談義
チーム安倍の方々、いろんな分野でこの種の議論が目立ちますですね。

Posted by: 虎哲 | January 29, 2007 at 09:37 PM

だいだいさん、小渕内閣の時もそういうことやっていましたっけ。記憶にないなあ。まあ、小渕内閣の時、僕は韓国に住んでいた、ということもあるんですが。

>あとリンク先の報告書に「30人31脚」の文字を見つけてちょっと苦笑。

そんなのありましたっけ?見落としていた。恐らく、目が拒否したんだな(笑)。僕はテレビの出し物としてしか思っていませんでした。悪しき民主主義の象徴とは思いませんが、委員達の能天気さが判りますよね。東大総長とかもいるのに、止めろよ、と思います。

虎哲さん
イデオロギー政策って、お金が一番かからない政策ですからね。そういうのを連発しているこの内閣は、一つ下のエントリに書きましたが、全然ダメダメってことです。
僕が言いたいことは、教育に金を掛けましょうとさえ言えない自称「保守主義者」は信用するに足りない、ということです。教育にお金掛けます、もちろん大学にもどんどん研究してもらいましょう、なんていう人がいたら、自民党でも入れてしまうかも(笑)。

Posted by: 川瀬 | January 30, 2007 at 01:48 PM

http://www.kantei.go.jp/jp/kyouiku/
ちなみにこれです!

Posted by: だいだい | January 30, 2007 at 04:13 PM

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