Recent Trackbacks

April 2017
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            
無料ブログはココログ

« これは「犯罪」である | Main | あった・無かったの話ではない »

February 25, 2007

ウィキペディアの使い方

最近大学で話題となったことに、アメリカの大学におけるウィキペディアの引用の禁止措置、というのがあった。新聞記事を一部を引用すると、

米バーモント州にある名門ミドルベリー大学の史学部が、オンラインで一定の利用者が書き込んだり修正したりできる百科事典「ウィキペディア」を学生がテス トやリポートで引用することを認めない措置を1月に決めた。日本史の講義をもつ同大教授がテストでの共通の間違いをたどったところ、ウィキペディア(英語 版)の「島原の乱」(1637~38)をめぐる記述にたどり着いたことが措置導入の一つのきっかけになった。
日本史を教えるニール・ウオーターズ教授(61)は昨年12月の学期末テストで、二十数人のクラスで数人が島原の乱について「イエズス会が反乱勢力を支援 した」と記述したことに気づいた。「イエズス会が九州でおおっぴらに活動できる状態になかった」と不思議に思って間違いのもとをたどったところ、ウィキペ ディアの「島原の乱」の項目に行き着いた。

とのことである。これについて、とりあえず「本当はイエズス会がからんでいたのかも」と想像力をたくましくすることは慎んでおくが、この問題は、いわゆる「レポートのコピペ問題」と同根のものである。学術情報のデータベース化、アーカイヴ化が進んでいたアメリカでは、いわゆる一般教養科目のレポートをネットのその類からコピペすることの問題性が、7、8年前から言われていたと記憶している(一時期一緒に仕事をしていたハーヴァード大出身のM田さんから聞いた話だが)。

僕の結論は非常に簡単。ウィキペディアだけ調べて、全て調べたつもりになるのは禁止。ただそれだけである。というのも、僕も結構参考にしているから言うのだが、ウィキペディアの記述は良いものとダメなものの落差が激しすぎる。

僕が結構参考にして、それなりに信頼しているのは、漫画家、アニメ、芸能人、ミュージシャンなど、いわゆるポピュラー・カルチャー、サブ・カルチャーに関する項目とその記述だ。特にアニメなどは、どうもすごいマニアの人が多く書いているらしく、「ほほう、これは知らなかった」というものが多いし、非常に勉強になる。たまにリンクを次々と辿って、数時間が経ってしまうこともあるくらいで、その恩恵に浴していることは間違いないし、感謝もしているが、学術的な項目については、先ほど述べたように粗密の差が激しいし、一種の匿名で次々と書き換えられてしまうものに、引用の最終的な信を置くわけにはいかない。例えば僕がある間違いに気付いて書き換えても、僕と意見を異にする者、というか、はっきり言えばリヴィジョニスト的な連中に数時間後に書き換えられて・・・といういたちごっこは容易に想像できるし、いくつかの項目では既にそういう事態になっているのは周知の通りである(はてなダイアリーのはてなキーワードも、規模は小さいが同様の問題を抱えている)。
紙に印刷されているものがネット上のものに比べて全て優れていて間違いがない、とはもちろん言えないが、大きな辞書、事典を編集するときは大体その項目を書く学者・研究者は複数の文献を照らし合わせてその項目を書き(一つだけしか参考にしないと「盗作」扱いを受けかねないし、学問的な良心からして複数のソースにあたることは当然)、編集・監修する役目の学者(大体大御所の先生がなる)が最低限のチェックを施し、出版社の編集者もチェックする、という二重、三重のチェック体制があることは間違いない。このチェック体制が、とりあえずの「信の置き場」なのである。
要するに、ウィキペディアのような「同業者の目(peer review)」というものが機能していない記述は、やはり「眉に唾つけて」見るべきなのだ。それに記事の最後にあったのだが、

ウィキペディアの創始者のジミー・ウェルズさん(40)は「慈善的に人間の知識を集める事業であり、ブリタニカと同様以上の質をめざして努力している。ただ、百科事典の引用は学術研究の文書には適切でないと言い続けてきた」と話す。

さすが創業者はよく判っている。その通りだ。

というわけで、このブログをご覧になっている少なくない僕の学生さんへ。
僕のレポートに関しては、ウィキペディアの引用だけで済ましているようなレポートは不可、ということにします(きっかけにしては良いけど、結論にしてはダメ、ということです)。

« これは「犯罪」である | Main | あった・無かったの話ではない »

大学」カテゴリの記事

Comments

んだね。百科事典からの引用はまあ高校までだよね。

レポートでネット上の新聞記事を参考文献欄に載せたことがありますが、今考えるとまずかったかなぁ。新聞記事って割と簡単にリンクが切れてしまいますし。
一方で官庁発表の統計とかは許されそうな気もします。いやそれもダメだったかも(汗)。

こんにちは。
>ポピュラー・カルチャー、サブ・カルチャーに関する項目
むしろこうした分野では、ネット上でも
>二重、三重のチェック
がマニアによって行われている、のではないでしょうか。間違いがあれば激しく突っ込まれる、というか。
学術的な専門家は(例外もあるでしょうが)ウィキペディアにはまだあまり書いてないんでしょう。
とはいえ私も大いに情報は得ているわけですが。
「使い方」を学ぶ必要がありそうです。

こいけ先生
高校生の時、ちゃんとしたそういう調べ物の課題って、出された記憶がないんですよね。
ともかく、丸写しを「仕事」と勘違いすることがないように指導しなくちゃね。

だいだいさん
官庁なんかは、白書の類も今はPDFファイルでおいてあるところが多いですから、そういうのは良いんですよ。

虎哲さん
もちろん、マニア同士の切磋琢磨によって、ウィキペディアのサブ・カルチャー方面の項目も鍛えられているに違いありませんが、僕がこだわりたいのは、やはり「誰が書いたのか」「誰がチェックしたのか」と言うことなんですね。もちろん辞書項目で誰が書いたのかは判らないのもあるわけですが、監修者くらいは判るわけです。
学術方面は、予想ですが、「そこまで暇じゃない」「名も知らぬ誰かに勝手に書き替えられるかも知れないという徒労感」から、なかなか書き手がいないのかも知れません。まあ、ウィキペディアはちょっとした豆知識を得る場くらいに思うのがベストでしょうね。

The comments to this entry are closed.

TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/34862/14037145

Listed below are links to weblogs that reference ウィキペディアの使い方:

« これは「犯罪」である | Main | あった・無かったの話ではない »