はなむけの言葉
みなさん、ご卒業おめでとうございます。
「何とかここまで来たか」と4年以上大学にいたせいで感慨にふける人もいれば、「え、もう学生生活終わりなの?」と嬉しさ半分、とまどい半分の人もいることでしょう。送り出す側の我々教員も、君たちの学年がもう卒業かと、不思議且つどことなく寂しい気持ちになっています。この寂しさは、毎年感じているものです。僕はあと、この寂しさを何回感じることになるのかな、と考えていたら、ますます哀しくなったので、もう止めますが。
今日、学科ごとの学位記授与の場で、我々教員は一言ずつ皆さんにスピーチしました。もう内容は憶えていらっしゃらないかも知れませんが(僕自身も、自分で何を言ったかは既に忘れました。お腹も減っていたし、謝恩会もあるだろうしと、とにかく短くしたつもりです)、ある先生がおっしゃったように、皆さんは、我々教員および学科の仲間との繋がりというものを否応なく「獲得」なさったわけで、是非この「縁」を大事にしていただきたいと思っています。
もちろん、みんながみんないい人とか、相性が合うなんてことはなかったはずですし、僕も皆さん全てにいい顔をしたなどとは思っていません。でも、恐らく、僕の乏しい経験からも思いますが、余り損得とかを考えずにつきあえる人間関係、というのは年をとるほど(残念ながら)少なくなってくるものです。大学時代に培われた「縁」というのは、そういう意味で、今後の人生のある意味「根っこ」「ホームグラウンド」になってくれるものだと思います。
大学での学びについていえば、これは毎年言っていることですが、我々、特に文学部では「応用」よりも「基礎」的なことを皆さんにお伝えしたつもりです。つまり自分で調べ、確認し、まとめて、自分の言葉で言い直す、という作業の集大成が卒論だったわけですが、その出来不出来はともかく、これは社会に出てからも「やることは同じ」だと、社会に出たことのない我々大学教員も自信を持って断言できます。皆さんは、それを成し遂げたのですから、自信を持ってください。卒論を書き終えて「人生、何とかなるものだ」とか「人生は思った以上に甘い」と思えたら、我々の教育は「成功」したことになります。
これまた別の先生がおっしゃいましたが、卒業生がひょっこり大学を訪ねてくれることほど、我々教員にとって嬉しいことはありません。何かの折には、是非また我々の研究室をお訪ねください。君たちに対する扉はいつでも開いています。
それではいつまでもお元気で。
皆さんの前途を祝します。
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